4人のキーパーソンが語り明かす 『天外魔境Ⅱ』を作った男たち
〝解析"して見えた PCエンジンの哲学
開発者コメント付きで見る 収録タイトル58本オールカタログ
電撃PCエンジン編集部 24年ぶりの同窓会
電撃PCエンジン mini STAFF
発売:KADOKAWA 2020年3月19日発売
制作:KADOKAWA Game Linkage
デザイン/DTP 東海創芸
シールデザイン グラフィオ
表紙 冨畑浩二
印刷 暁印刷
編集/ライター 大野英士、片山和哉、染谷広人、高橋智也、
田島勝、千木良慎二、中島正雄、中鉢貴之、
宮崎洋平、宮田公彦、三輪邦宏、渡辺諭
スペシャルサンクス KONAMI、エムツー
発売●株式会社KADOKAWA
T1901004
1500
4 942330 128756
『PCエンジンmini』の書籍。全58タイトルの紹介とカタログが収録されている。綴じ込み付録としてPCエンジンステッカーがついている。
天外ファンとしてやはり見どころは巻頭特集の【『天外魔境Ⅱ』を作った男たち】
天外Ⅱ制作に深く携わった桝田省治氏、辻野寅次郎氏、あだちひろし氏、岩崎啓眞氏、4名のキーパーソンによるスペシャル対談だろう。8ページにわたる対談の中に、天外Ⅱ制作の裏話、どのように生まれたのか、それぞれの思い入れを熱く語られていて、とても面白いし、感慨深くもなった。
「アニメとゲームを合わせた作品として生まれたのが『天外魔境』です」(あだち氏)
『電撃PCエンジンmini』(KADOKAWA、2020年)
――イベントでは、マップ上のキャラとビジュアルシーンが交互に展開するシーンもありました。
辻野:絹の覚醒するシーンとかよくできていますよね。マップでのキャラとビジュアルシーンを行ったり来たりする演出が、うまくつながっていました。これぞ、ゲームとアニメの融合だったのかもしれません。
『電撃PCエンジンmini』(KADOKAWA、2020年)
アニメとゲームの融合した形の代表として、天外Ⅱ屈指のイベントであるヒロイン絹の覚醒シーン(鬼怒)についても語られていて、公式スタッフ自ら語られることで、月日が過ぎてもファンの心に深く残った印象深いイベントであることを改めて実感する。
現在あだち氏と辻野氏の動画チャンネルでゲスト出演中の山根ともお氏についてもふれられていて、グラフィックまわりの話も面白い。
設定についても、暗黒ランの設定から、卍丸の名前についても語られていて、
――卍丸の"卍"という名前も、拡大縮小を意識したんですか?
桝田:それはあと付けです。
岩崎:結果的にできただけ。桝田さんは、言葉として強く、母音が入っていて最後に濁点が入っている。さらに、漢字の形が誰でも見た瞬間にわかるような絵面になるようなものを選んだんです。
桝田:"ま"とか"な"の音は強いんですよ。卍丸は、あの短い名前で"ま"が繰り返されています。あと、"卍"はみんな知ってるけど、使用頻度が非常に少ない字。なかなかないですよね。みんなが書けるのにほとんど誰も使ってない字って。
『電撃PCエンジンmini』(KADOKAWA、2020年)
と桝田氏がさらっと回答していて、後付けから卍丸のキャラクター設定が出来上がっていった経緯についてデザインも含めて語られていて、桝田氏の特徴である後付けキャラメイクの手法がここでも明かされている。
音楽まわりのこだわりも強いがゆえに作曲者選びについても難航して二転三転したなど、色々天外Ⅱの話を天外Ⅱを作った男4人から語られる数々の制作に関する裏話や苦労や思い入れが8ページにぎゅっと詰められている。
【『天外魔境』シリーズ年表】も、天外シリーズの各作品が発売年月日と発売機種で載っている。シンプルな情報ながら、それゆえに天外シリーズの歩んできた年月や間隔がわかる。『天外魔境 for GREE』から『PCエンジンmini』に収録されての発売までに8年という月日が過ぎているいたのだと月日の重みを感じた。
天外Ⅱに関しては、収録ソフトの紹介で『イースⅠ・Ⅱ』に続いての紹介で見開き2ページという扱いに、改めてPCエンジン最高峰のソフトだったと改めて実感する。
また岩崎啓眞氏は【電撃PCエンジン編集部 24年ぶりの同窓会】で、ウォルフ中村氏と共に電撃PCエンジンや裏話やゲーム関連の思い出について熱く語っていてこちらも必読である。
天外ファンにはぜひ読んでいただきたい1冊だが、すでに絶版でプレミア価格がついてしまっていて、中古本とはいえども気軽に買って読めないのが非常に惜しい。