スセリの日記3

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終わりなきFX版とPS2版論争

天外魔境のファン界隈で物議を醸し出している話題の一つが、『天外魔境Ⅲ』のFX版とPS2版論争である。

 

元々天外ⅢはPC-FX版で発売予定で熱心なファンはFX本体を買って期待して待っていた。それが様々な事情で頓挫し、大勢のファンを絶望のどん底に叩き落とした。それでもあきらめずに声を上げ続けてようやくPS2で発売されると思いきや、出来上がったのはシナリオからキャラデザまでFX版とは大きくかけ離れたゲームになっていた。しかもゲームの評価はあまり芳しくなく、本来発売されるはずだったFX版ならこうではないはず、今からでもいいので桝田省治氏による天外Ⅲを!、という声は昔からよく見かける。


ただPS2版が総じて否定されているわけでもなく、PS2版こそ正当な天外Ⅲだと主張する人、PS2版が好きなファンもいるのも事実である。

熱心にPS2版キャラのファンアートを描き続けるファン、普段は他ジャンルメインで活動しているがPS2版発売日には欠かさず記念絵を描いたりお祝いツイートをして長年応援しているファンもいる。主人公のナミダだけでなく、イダテン、ニギ、イチモツといった敵キャラクターにも熱心なファンがいて、イダテンはPixivやSNSで単体でイラストをあげる熱心なファンもついていて、ゲームだけでなくキャラクターに魅了されたファンも多い。ファン(特に絵描き系)はたいていRTやいいねの数を気にするもので、反応が少ないと反応がもらえるジャンルに流れていってしまうものだが、反応が少なくても忘れずに絵をあげて応援することはそれだけ好きであるという表れである。


一方のFX版も忘れずに愛するファンがいて、二次創作系ではあまりないが、FX版について語ったりツイートしたりしていて、今でも愛しているファンがいることをアピールし、存在を忘れられないようにしているからこそ、近年出た公式グッズの色紙『天外魔境ミニ色紙コレクション Vol.2』でFX版のイラストもあったり、原画展でも絵が掲示されたのだろう。そうでなければ、天外魔境Ⅲの展示作品はPS2版だけで、ナンバリングからないことにされていたはずである。

 

どちらのファンも思い入れが強く好きだからこそ譲れない気持ちがある。だが自分の気持ちや思いを正直に発信することで、一方のファンの心証を悪くすることはよくあることである。今からでも桝田氏監修のFX版を作ってほしい、FX版こそ本物の天外Ⅲという意見はよく見かけるが、それはPS2版ファンにとって自分の好きなPS2版を貶められたりなかったことにされるようなもので見てて不快なことに変わりない。逆もしかり。

 

せっかく天外Ⅲが実現したのにも関わらず、実際は往年のファンが期待していたものとはまったく違った作品になっていたことに対する失望は計り知れない。絶望→希望→絶望という負のループ。せめてPS2版が天外Ⅱ並みに評価が高いゲームだったら、少しは違っていたかもしれない。

ブレイブ・ストーリー』のコミック版(『ブレイブ・ストーリー~新説~』というタイトルで原作とは違う展開を描いた漫画)みたいに、桝田氏監修の別の天外ⅢもしくはNAMIDAのゲームが作られればこの不毛な論争は収束するのかもしれないが、今の天外関連を取り巻く状況を見ればそれはありえない。これはもう永遠になくならない論争でこのジャンルにいるかぎり見てしまう論争である。

 

FX版のファン、PS2版のファン、どちらもときとして自分を好きな天外Ⅲを否定する人の意見を目にしてしまうかもしれない。そういった意見を見たりして辛い気持ちになるかもしれない。そんな状況下でも、FX版を追い求めているファン、PS2版を応援しているファンがいる。自分の好きな天外IIIを応援し続けるファンを心から尊敬する。

 

tengai-okuni.hateblo.jp