スセリの日記3

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天外魔境Ⅱ MANJI MARU 公式完全攻略絵巻

天外魔境Ⅱ MANJI MARU 公式完全攻略絵巻 CONTENTS

巻頭言―広井王子

CONTENTS

 


第一章 設定資料集

  火出ずる国ジパング

  千年まえの戦い

 人物紹介―火の勇者編

  戦国卍丸

  カブキ団十郎

  極楽太郎

  絹

 人物紹介―旅を手助けしてくれる人々

 人物紹介―根の一族編

 天外魔境の歩み

 

 

 

第二章 システム解説

 天外魔境Ⅱの世界

 基本的な操作方法を学ぼう

 町や村を活用しよう

 マップの歩き方

 戦闘で勝利を目指せ!!

 天外魔境Ⅱテクニック集

 

 

 

第三章 攻略ガイド

 攻略ガイドの見方

 ストーリーダイジェスト

 マップ攻略

   火多の国

   尾張の国

   伊勢の国

   紀伊の国

   京の国

   近江の国

   越前の国

   越中の国

   越後の国

   因幡の国

   出雲の国

   石見の国

   丹波の国

   浪華の国

   吉備の国

   長門の国

   安芸の国

   血の京

 

 

 

第四章 コンプリートデータ

全店舗一覧

全道具一覧

全装備品一覧

全巻物一覧

全奥義一覧

根の一族大図鑑

 


第五章 天辞苑

天外魔境Ⅱ公式用語辞典

 

 

 

企画・構成・執筆 赤堀卓士(有限会社スパート)

執筆       あおきぶんた(有限会社スパート)

         天野慎介(有限会社スパート)

         いいだぢん(有限会社スパート)

         畠山欣文(有限会社スパート)

         林 祐樹(有限会社スパート)

装丁・デザイン  田村 宏(海月デザイン)

         本山理咲(海月デザイン)

         佐々木由美子

         竹本章子

デザイン監修   稲葉和恵(ファミ通書籍編集部)

デザイン協力   松田華子

絵師       辻野寅次郎

編集       新本浩一郎(ファミ通書籍編集部)

編集協力     高橋知秀(ファミ通書籍編集部)

校正       竹下陽子

         古川香苗

発行人      浜村弘一

編集人      野田 稔

編集長      坂本武郎

副編集長     澄田雅範

業務部      樽󠄀本義之

印刷       共立印刷株式会社

発行所      株式会社エンターブレイン

 


ISBN4-7577-1656-7

C0076 ¥1400E

エンターブレイン

定価 本体1400円+税

 

 

全384ページでオールカラー。これでこの価格はお買い得。

キャラクター紹介ページでも主要4人はそれぞれ6ページを使ってキャラクターイラストを掲載。根の一族も全員ではないがイラストつきで紹介。

幕間ページにも関連イラストを挿絵として入れたり、根の一族大図鑑では全敵キャラを写真つきで載せるなど、『見せる』点に力を入れている本。オールカラーのため、マップや攻略も見やすいのもうれしい。

 

ただ、最後に収録されている、天外Ⅱの用語集『天辞苑』だけはとても残念な内容である。『天外魔境Ⅱ卍MARU公式ガイドブック』の内容を引用して記述しているが、『~かもしれない。』『~ではないだろうか。』『~のだろう。』という言い回しが多用されていて、編集したライターの拡大解釈が入った項目がいくつもあり、用語集と言うより考察ではないかと思える項目がいくつもある。

 

 

 

暗黒ランの項目では

 

もともと出雲にいた八又のオロチという化け物を、ヨミが自分の野望のために手を加えて復活させたと考えるのが自然だろう。そして最後の1本を復活させている最中に火の一族との戦争が始まってしまったのではないだろうか。

天外魔境Ⅱ MANJI MARU 公式完全攻略絵巻』、エンターブレイン、2003年、372-373頁。

 

とライターの独自解釈が入りまくっていてまさに考察。この程度ならまだマシだが、紅丸の項目では、

 

大江山にある法水院で聖剣を打っていたところをみると、鬼族ゆかりの者であることがわかる。名前から判断すると、本人が鬼族だとは考えにくいため、親族もしくは友人に鬼族がいたのではないだろうか。

天外魔境Ⅱ MANJI MARU 公式完全攻略絵巻』、エンターブレイン、2003年、381頁。

 

名前から判断すると、本人が鬼族だとは考えにくい』ライターが感じた印象と判断で紅丸が鬼族ではないとまで書いていいのかと。

これに関しては、オンラインゲーム『天外魔境JIPANG7』で紅丸は鬼族と火の一族の血を引く勇者だと明かされていて否定されていた。

 

 

そして天外ファンが一番注目したのは『俺の屍を越えてゆけ公式指南書~ソノ血、絶やさぬ為ニ~』に載っている桝田省治氏のコメントを引用した義経の項目である。

 

PCエンジン版の「公式ガイドブック」には、義経男装の麗人であると書かれているが、現在ではこの情報は否定されている。そもそもこの設定を書き込んだのは、制作者である桝田省治氏自身なのだが、じつはこれはネタがなくなってしまった思いつきであるという。後年氏はインタビューの中でこの情報が嘘であると認めており、現在では義経は男であるということになっている。

天外魔境Ⅱ MANJI MARU 公式完全攻略絵巻』、エンターブレイン、2003年、383頁。

 

と書かれているが、実際に『俺の屍を越えてゆけ公式指南書~ソノ血、絶やさぬ為ニ~』に載っている桝田氏のコメントを見ると

 

―― ここからは『俺屍』主要キャラクターのことを、桝田さんに直接解説していだたきます。ただし、先にお断りしておきたいのは、桝田さんには前科があるということです。

桝田 実は昔、『天外Ⅱ』の本でキャラの設定を書いたんだけど、ホントにネタがなくなって、「この人は男の格好をしているけど、実は女で……」ってデマカセを書いちゃいました。すいません。

―― ということです。ここでは、桝田さんのそんな「後付け」も含めて、おおらかな公式見解とさせていただきます。

桝田 設定自体後からつけたんだからなぁ。でも、つじつまが合ってるんだから、それで大丈夫だよ(笑)。

俺の屍を越えてゆけ公式指南書 ~ソノ血、絶ヤサヌ為ニ~』、アスキー、1999年、284頁。

 

と書かれていて、

義経男装の麗人設定はその場のデマカセ(思いつき)から生まれた「後付け」設定だけど、つじつまが合っているからそれ(男装の麗人設定)で大丈夫であること。

・『天外魔境Ⅱ卍MARU公式ガイドブック』に載せた義経の設定(男装の麗人設定)について否定はしてない。

・桝田氏はデマカセ(思いつき)から作る設定もあり、義経の設定はその代表例で、桝田氏的に上手い具合につじつまがあって結果的に人気も出たキャラの例としてあげた。

ことが説明されていて、別に『天外魔境Ⅱ卍MARU公式ガイドブック』に載せた設定を嘘であると認めていないし、否定もしてないのがわかる。そもそも「嘘」という単語すらない。

 

義経の項目は天外ファンに『ライターの誤読引用』と指摘されていて、例えるなら週刊誌のゴシップ記事みたいにあることないこと付け加えられた拡大解釈で、桝田氏本人が嘘であると認めてないのに、公式スタッフですらない一介のライターがここまで書いて決めつけていいのか?と突っ込める酷さである。

だが、この本を読んだ全員が『俺の屍を越えてゆけ公式指南書~ソノ血、絶やさぬ為ニ~』を読んで確かめるわけもなく、桝田氏が嘘の設定を書いた、今さらになって撤回して否定したと余計な物議を醸し出し、桝田氏が非難されたり、失望したファンのジャンル離れ(主に義経のファン)を起こして、結果的にジャンル衰退の一因となってしまったのは大変残念である。

 

 

俺の屍を越えてゆけ 新説・公式指南書』でも、ゲームの裏設定について桝田氏が直接解説しているが、『俺の屍を越えてゆけ公式指南書~ソノ血、絶やさぬ為ニ~』で掲載したことについてもまたふれられていた。

 

これはオリジナル版『俺屍』に掲載されたものの再録となりますが、当時の桝田さんは、ご自身の過去のデマカセ歴を例に挙げ、ここで書いてあることがデマカセかもしれない可能性を匂わせていました。そこで今回、12年の時を経て、このページにデマカセがあるのかを桝田さんに問いただしたところ……。「僕は嘘なんかついてないよ? そもそも僕は自分ができると思ったこと、考えたことしか言わないしなぁ。だから僕の言葉は嘘に見えるけど嘘じゃないんだよ(笑)」とのことですので、皆様安心してお読みいただきますよう。

俺の屍を越えてゆけ 新説・公式指南書』、エンターブレイン、2011年、406頁。

 

わざわざ注意書きのように桝田氏が

 

僕は嘘なんかついてないよ? そもそも僕は自分ができると思ったこと、考えたことしか言わないしなぁ。だから僕の言葉は嘘に見えるけど嘘じゃないんだよ(笑)

俺の屍を越えてゆけ 新説・公式指南書』、エンターブレイン、2011年、406頁。

 

と、自分はこういったキャラメイクをする、こういった言い方をすると書いていたのは、『天辞苑』の義経の項目で

 

後年氏はインタビューの中でこの情報が嘘であると認めており、現在では義経は男であるということになっている。

天外魔境Ⅱ MANJI MARU 公式完全攻略絵巻』、エンターブレイン、2003年、383頁。

 

とまで書いたライターへの皮肉や苦言とも言える。

『天辞苑』の義経の項目が原因で『天外魔境Ⅱ卍MARU公式ガイドブック』で書いた他の設定もデタラメや嘘ではないかと誤解されてしまい、実際にSNSで桝田氏が設定を撤回したと不満をツイートしている天外ファンもいた。

 

こういった物議を醸し出したことから、桝田氏にとっても、義経というキャラクターにとっても、大変不幸な出来事の発端となった大変罪深い本である。

この本は『天辞苑』以外はとても良い内容だけに、桝田氏の発言を誤読引用したあげく拡大解釈で義経の性別を男性だと決めつけたことといい、他の項目のライター独自解釈が入った考察みたいな説明といい、『天辞苑』だけはとても残念な内容である。

 

後に配信されたオンラインゲーム『天外魔境JIPANG7』で、紅丸たち火の勇者たちの設定が明かされていて、『天辞苑』で書かれている項目(ライターの解釈)が否定された形になったのはなんとも皮肉なことである。

同時期に発行された攻略本『 天外魔境Ⅱ MANJI MARU 炎之奥義書』のように、ハドソンの協力があれば、ここまでライターが好き放題に拡大解釈した内容とは違った用語集になっていたかもしれない。

 

『天辞苑』の項目全部が、ライターの解釈や主張が入り混じったものではなく、既出の情報をちゃんと記載していて参考になる項目もあったが、ライターの独自解釈と主張があまりにも強すぎて考察と化している項目も多く、義経の項目に関しては桝田氏に対する誤解や批判を生み出したり、義経の性別に関する物議を醸し出してファンに悪い意味で影響を与えたことは大変遺憾である。

 

この本は攻略本や絵的な資料としてはいいので、そういったものを求める人にはおすすめだが、この本だけを読んで天外Ⅱの設定を知ることはできず、むしろライターの拡大解釈や曲解した設定を真に受けて偏った知識を身に着けてしまうので、天外Ⅱの設定を本当に知りたいなら、ゲームをプレイする、他の関連書籍もできるかぎり読むことを強くおすすめする。

 

tengai-okuni.hateblo.jp